【社労士】理解することが最も難しい科目

社労士試験の勉強をする上で、理解することが最も難しい科目が、厚生年金保険法だと思います。近年は、若干難易度が、下がっているとは言え、依然として、高得点が簡単に取れない科目であることに変わりはありません。
制度が複雑なので、理解不十分のまま本試験に臨み、正誤を確実に判断できない場合が多いからです。

そうならないためには、「本試験で問われる可能性」を考慮した勉強を常に心がける必要があります。具体的には、本試験対策上それほど重要と思われない微細な論点に、勉強時間を費やすことなく、過去に何度も出題されている論点を確実にマスターすることに、力を注ぐべきです。

さらに、この科目は、国民年金法と重複する部分が非常に多いため、まずは、国民年金法を仕上げること、これに尽きます。国民年金法の復習も兼ねて、老齢基礎→老齢厚生→障害基礎→障害厚生……というように、両法の制度の繋がりや相違点を意識しながら学習すると、さらに効果的です。国民年金法の理解なくして、厚生年金保険法の理解は有り得ません。

【社労士】健康保険法の学習

いよいよ、社会保険科目に突入しましたが、頭の切り替えはできていますか?
近年の試験では、労働科目の難化が顕著であり、社会保険科目で、いかに高得点をとるかが、合格への決め手となりつつあります。健康保険法は、既に学んだ労働者災害補償保険法と同じく、医療保険の1つであり、けがや病気、死亡、それに出産の場合に保険給付が行われます。その他、医療保険としては、社一で学ぶ、国民健康保険もあります。
健康保険と労働者災害補償保険は職域保険(会社員などの被用者が加入する保険)、国民健康保険は自営業者などを対象とした地域保険となります。職域保険については、さらに、業務上か、通勤中か、業務外(業務災害以外)かによって、健康保険と労働者災害補償保険に分かれます。要するに、健康保険は、「会社員が、業務外(業務災害以外)で、けがや病気になったときに、保険給付をする医療保険」ということになりますが、本人だけではなく、奥さんやお子さん(被扶養者)も、保険給付の対象としていることが最大の特徴です。
健康保険法を学習する際には、まず被保険者の種類や保険給付の名称など「全体像」を把握した上で、「個々の規定(「支給要件」と「保険給付」)」を学習し、最後に「類似した規定の科目内横断整理」をして理解を深めていくとよいでしょう。試験に最も出題されるのは、保険給付ですが、1つ1つの保険給付が独立しているので、「支給要件」と「保険給付」の内容をそれぞれ押さえていけば、それほど難しいことはありません。その他、保険者、被保険者、標準報酬、並びに費用の負担(保険料)についても、よく出題されますので、過去問に必ず目を通しておきましょう。
さらに、今年度の法改正点としては、①標準報酬月額の上限額の引き上げ、②患者申出療養の創設、③傷病手当金・出産手当金の額の改正、④一般保険料率の範囲の変更等があるので、注意が必要です。

社会保険労務士講座<社会保険関係科目>講師 利波 幸一