【宅建】相殺適状の例外!?

こんにちは。今日は、「相殺適状」についてご説明します。
相殺できる条件は、
1.債権が対立していること
2.双方の債務が同種の目的を持つこと
3.原則として双方の債権が弁済期に達していること
4.債務が相殺を許すものであること
という4つの条件をすべて満たすことです。
このとき、「3.原則として双方の債権が弁済期に達していること」には、例外があります。
次のような場合です。
「自働債権は、弁済期に達しているけれども、受働債権は、弁済期に達していない。」
このようなときでも、相殺することができます。
お金の貸し借りにおいて、「自働債権が、弁済期に達している」ということは、自分が、相手からお金を返してもらえる「返済日」を過ぎていることです。相手から見ると「お金を返さなければならない状況にある」ということです。
「受働債権が弁済期に達していない」というのは、「相手の持つ債権の弁済期がまだ来ていない」言い換えると、「相手の返済期日は、まだ来ていない」ということです。
これは、自分の側から言うと、「まだ、返済しなくても良い状態」ということができます。
「相手は、返さなければならない状態で、自分は、まだ返さなくても良い状態」このような状態のときでも、自分の方から、相殺をすることができます。
自分はまだ返さなくても良い状態なのですが、敢えて、早めに返すことを選んだとしても、相手に迷惑をかる訳ではありませんよね?
では、逆の場合はどうなのでしょうか?「自働債権は、弁済期になく、受働債権が、弁済期にある」というときには、「相殺」をすることはできません。
自分は、返さなければならない状態で、相手は、まだ返さなくても良い状態です。
このようなときに、相殺を認めると、相手の期限の利益を奪ってしまうことになるからです。
相殺の問題が出たら、「自働債権が、弁済期にあるのか? ないのか?」「受働債権が、弁済期にあるのか? ないのか?」
まず、この点に注意してください。

【宅建】ストレスのない、わかりやすい理解の仕方

こんにちは。宅建の勉強を始めようとテキストを開くと、市販のほとんどのテキストで「権利関係」が登場します。権利関係の内容のほとんどは「民法」です。宅建試験の科目のうち、「民法が苦手だ」という受験生が多くいます。なぜでしょうか?

多分、言葉の難しさに原因があるのだと思います。民法の中でも特に、「不動産の物権変動の対抗要件」が苦手だという受験生が多くいます。しかし、「不動産の物権変動の対抗要件」に関する問題においては、比較的出題されるパターンが決まっています。

そのような問題の場合、登場人物を自分の身近にいる人に置き換えてみると問題の内容をすんなり理解できることが多くあります。

おじさんの○○さんと、自分の友人の△△さんが家の売買をして、△△さんが、その家を△△さんの友人の××さんに売った。××さんに売ったあと、○○さんと△△さんの契約が解除された。その場合に、○○さんと××さんの関係はどうなるのか?

こんな感じで、それぞれの問題に応じて考えていくと、そもそも理解しやすくなると思いますし、本試験でいくつかのパターンが登場したときに、思い出しやすくなります。ただひたすらテキストの内容を覚えこむのではなく、ストレスのない、わかりやすい理解の仕方を工夫してみませんか。

民法の学習の際は、「法律用語を普段使っている分かりやすい日本語に翻訳する」ということを意識しましょう。宅建の学習は、スタートダッシュが肝心です。「まだまだ時間があるから・・・」という気持ちは厳禁です!

【宅建】「権利関係」の最初に登場する「難しい法律用語」

こんにちは。宅建講師の山口朝重です。宅建の勉強を始めようとテキストを開くと、市販のほとんどのテキストの最初に登場する論点が「権利関係」の科目のうちの「制限行為能力者」です。
テキストを開くと、難しい法律用語が並んでいて、それらを見るだけで、学習意欲が減退する方もいらっしゃるのではないでしょうか?
でも、スタート時点からあきらめるのはやめましょう!
民法などの法律は、確かに難しい言葉で書かれているのですが、書かれている内容は、極めて常識的な内容がほとんどです。ですので、言葉の難しさに負けないでください。
今日は、難しそうに感じるいくつかの法律用語をわかりやすく「翻訳」します。

●権利能力

人としての権利(人権や法律上の権利など)を持って、「権利を主張できたり、義務を負う対象となることができる」という意味。権利能力がないと、自分の権利を主張したりすることができません。したがって、「人は生まれながらに権利能力を持つ」と言われています。

●行為能力

人が、その人だけで契約などの法律行為をすることができる能力。「赤ちゃんや幼児などは判断能力が乏しいので、行為能力がない」とされています。

●意思能力

自分がした行為の結果を理解することができる判断能力。行為能力の有無は、個別の事案とは切り離して、年齢や審判の有無といった形式的な基準によって画一的に判断するが、意思能力があるか否かは、個別の事案ごとに具体的に判断されます。通常の状態では正常な判断力がある者でも、飲酒や薬物の服用によって判断力を欠くような状況が生じることがあり得ます。

●自然人

生きている個人。権利や義務の主体となることができる。

●法人

会社名義で不動産を所有したり、会社が裁判で被告や原告となる場合に、会社自体が権利を主張できないと不便です。そこで、会社は自然人ではないものの、自然人と同じように「法律上の人格」を与えることにしました。「法律上の人格」を与えられた団体のことを「法人」といいます。
法律の学習の際は、「法律用語を普段使っている分かりやすい日本語に翻訳する」ということを意識しましょう。

【宅建】「法令上の制限」分野における「農地法」攻略法!

こんにちは。宅建講師の山口朝重です。今日は、法令上の制限における「農地法」関連問題の攻略法についてご説明します。
農地法に関しては、「3条・4条・5条」の条文を理解するのが基本です。
第3条(農地又は採草放牧地の権利移動の制限) 農地又は採草放牧地について所有権を移転し、または、地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権、もしくは、その他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、もしくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が「農業委員会の許可」を受けなければならない。
第4条(農地の転用の制限)
農地を農地以外のものにする者は、「都道府県知事(農林水産大臣が指定する市町村の区域内にあっては、指定市町村の長。)の許可」を受けなければならない。
第5条(農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限)
農地を農地以外のものにするため、または、採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。)にするため、これらの土地について、第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が「都道府県知事等の許可」を受けなければならない。
ただし、第4条と第5条に関しては、市街化区域内にある農地を、政令で定めるところにより、あらかじめ農業委員会に届け出た場合には、許可が不要となる例外規定があります。これを「市街化区域内の特例」といいます。第3条には「市街化区域内の特例」がありませんので要注意です。
農地法に関しては、テキスト「パーフェクト宅建 基本書」372ページの一覧表の内容をしっかりと理解することが重要です。

 

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【宅建】開発許可制度とは何か?

こんにちは。宅建講師の山口朝重です。今日は、「開発許可制度とは何か?」ということについてお話します。
昭和30年代後半から昭和40年代にかけての高度経済成長の過程で、人口や産業が都市に集中する現象が生じました。住宅や住宅関連施設の需要に、供給が追い付かいない状況が発生し、郊外部において無秩序に市街化が進んだり、道路や公園など、快適な都市生活を営むために必要不可欠な施設の整備が行われないまま、市街地が形成されるといった弊害が発生しました。
そのような状況の中、開発許可制度が創設されました。
開発許可制度は、一定の土地の造成に対するチェックを行うことにより、新たに開発される市街地の環境の保全、災害の防止、利便の増進を図るための都市計画法上の制度です。
近年、開発許可制度は、都市計画に関する他の制度とあいまって、まちづくりの将来像を示す「マスタープラン」の内容を実現する手段としても、重要となってきています。
開発許可制度は、「市街化区域」及び「市街化調整区域」の区域区分の趣旨を守り、「良好かつ安全な市街地の形成」と「無秩序な市街化の防止」を目的とした制度です。
開発許可制度における「開発行為」とは、主として、(1)建築物の建築、(2)第1種特定工作物(コンクリートプラント等)の建設、(3)第2種特定工作物(ゴルフコース、1ha以上の墓園等)の建設を目的とした「土地の区画形質の変更」のことをいいます。
開発許可制度以外の制度などについて、ご自身で確認してみてください。

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【宅建】「法令上の制限」学習のイロハのイ

こんにちは。宅建講師の山口朝重です。今日は、「法令上の制限」という分野の学習のイロハのイについてご説明します。
「法令上の制限」の分野には、様々な法律や制度が登場します。細かな内容は、もちろん重要なのですが、一番大事なのは、「趣旨・目的」を知ることです。
それぞれの法令・制度の「趣旨・目的」を理解すると、「その法令は、何を規制(保護)するために存在するのか?」「なぜ、その制度があるのか?」ということが分かってきます。
そうすると、細かな規定について、「なぜ、そうなっているのか?」ということが、自然と理解できます。
法律の趣旨や目的は、「第1条」あたりに書かれていることが多いので、ぜひ、様々な法律の第1条を実際に確認するようにしてください。
【都市計画法】
第1条 (目的)  この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
第2条(都市計画の基本理念)  都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと、並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。
【建築基準法】
第1条(目的)  この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。
【国土利用計画法】
第1条(目的)  この法律は、国土利用計画の策定に関し必要な事項について定めるとともに、土地利用基本計画の作成、土地取引の規制に関する措置、その他土地利用を調整するための措置を講ずることにより、国土形成計画法による措置と相まって、総合的かつ計画的な国土の利用を図ることを目的とする。
第2条(基本理念)  国土の利用は、国土が現在及び将来における国民のための限られた資源であるとともに、生活及び生産を通ずる諸活動の共通の基盤であることにかんがみ、公共の福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつつ、地域の自然的、社会的、経済的及び文化的条件に配意して、健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図ることを基本理念として行うものとする。
【農地法】
第1条(目的)  この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もって国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。
【土地区画整理法】
第1条(この法律の目的)  この法律は、土地区画整理事業に関し、その施行者、施行方法、費用の負担等必要な事項を規定することにより、健全な市街地の造成を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。
【宅地造成等規制法】
第1条(目的)  この法律は、宅地造成に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行うことにより、国民の生命及び財産の保護を図り、...

【宅建】宅建業の免許と宅地建物取引士の登録における「未成年者の取扱い」の違い

こんにちは。宅建講師の山口朝重です。今日は、「未成年者の取扱い」についてご説明します。
宅建の免許取得に際して「欠格事由」がありました。実質的欠格事由の中で、未成年者の取り扱いは次のようになっています。
宅建業法 第5条1項6号
「宅建業に係る営業に関し、成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で、その法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む)が、第1号から第5号のいずれかに該当するもの」は、免許を受けることができません。
宅地建物取引士の登録の欠格要件には、次のように規定されています。
宅建業法 第18条1項1号
「宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」は、宅地建物取引士の登録を受けることができません。
専任の取引士については、次のように規定されています。
宅建業法 第31条の3第2項
「宅地建物取引業者(法人である場合においては、その役員)が、宅地建物取引士であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所等については、その者は、その事務所等に置かれる成年者である専任の宅地建物取引士とみなす。」
このような内容に関しては、「横断的に聞いてくる」問題がありますので、違いを明確に理解しておくことが必要です。
比較表などを作って、常に視界に入るようにして、目で見て覚えるようにしましょう。

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【宅建】売主の瑕疵担保責任についての「民法」と「宅建業法」の規定の違い

こんにちは。宅建講師の山口朝重です。今日は、「売主の瑕疵担保責任」についてご説明します。
「瑕疵担保責任」とは、売主は、自分に責任が無くても、売った物の瑕疵について、一定期間、「善意の買主」に対して、負わなければならない責任のことです。
「民法」によれば、この「瑕疵担保責任」は、買主が瑕疵を発見したときから1年間、売主が負わなければならない責任であるとされています。
これは、言い換えると、買主は、瑕疵を発見したときから1年間は、損害賠償請求や、契約の解除をすることができる、ということです。
一方、「宅建業法」においては、特約で、「売買の対象となる不動産の引渡の時から2年以上」である期間を、瑕疵担保責任の期間とすることが許されています。したがって、瑕疵担保責任を負う期間を、特約で、「引渡の日から1年11か月」としたら、「引渡の日から2年以上」とできる特約よりも、期間が短く、買主に不利になりますので、特約としては無効になります。
瑕疵担保責任を負う期間を、特約で、「引渡の日から3年」としたら、「引渡の日から2年以上」とする規定よりも、期間が長く、買主に有利になりますから、特約としては有効です。
ある一つの「責任」でも、法律によって規定されている内容が異なることがあります。
このような内容に関しては、「横断的に聞いてくる」問題がありますので、違いを明確に理解しておくことが必要です。
比較表などを作って、常に視界に入るようにして、目で見て覚えるようにしましょう。

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